離婚前提から 始まる恋
「ねえ、こんなに毎日早く帰ってきて仕事は大丈夫なの?」

二人で鯛そうめんを食べながら、気になっていたことを口にしてみた。

「花音が心配することじゃないよ」
「でも・・・」

もちろん私は何の力にもなれないし、できるのは心配することだけ。
それでも、勇人が大きな案件をいくつも抱えて多忙なのは知っている。

「俺の心配をするよりも、自分の体を気遣ってくれ」
「うん、そうね」

それを言われると、何も言えない。
でもねえ・・・
私が自宅休養に入ってから一週間。毎日勇人が早い時間に帰ってくるのは気になっていて、きっと無理をしているんだろうなと心配もしていた。
もちろん申し訳ないなとも思ったし、「私は一人で大丈夫だから」と何度か言ってもみたけれど、勇人は早い帰宅を続けている。

「急にそんなことを言うなんて、誰か何か言ったのか?」
「違うよ」

とは言ったものの・・・
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