ハグは保健室の前で
そんな感じで、2人であーでもないこーでもないと言いながら確実に作業は進んでいく。
緊張すると思っていたけど、案外普通にできていた。クラスで話すことはあっても、ひとつのことに対してこんなに意見を言い合ったりするのは初めてで、沈黙になるのが怖かったりしたけど、吉田君が結構喋ってくれるし小川先生も時々会話に混ざるから気まずくならずに済みそうだ。
「ごめん、ちょっと席空けるわね。すぐ戻るから」
小川先生が急用を思い出したのか、保健室から出て行ってしまった。図らずとも吉田君と2人きりになってしまった。さすがに緊張する。意識しないようにとゆっくり息を吸い込んだところで吉田君が口を開いた。
「なぁ。望月って好きなヤツいんの?」
なんの前触れもなくそんなことを聞いてくるもんだから、「どぅえっ!?」と地球外生物のような言葉が口から出た。
「なに、その反応。ウケる」
「だ、だって吉田君が急に変なこと聞いてくるから……」
「そう? で、いるのいないの?」