恋愛はもうしないと決めたのに、次期社長にアプローチされて困ってます!
恋愛小説や少女漫画を読んでいると、必ず登場する言葉がある。それは「愛してる」。甘く、想いをストレートに伝えるその言葉をかけられることに憧れる女性もいるだろう。

恋とは、まるでマカロンやケーキのように甘くてロマンチックなもの。恋愛小説や少女漫画に夢中になっていた宇佐美五月(うさみいつき)もそう信じて疑わなかった。しかしーーー。

『あの人、男遊びしてあんなことになったんだって〜』

『ぶっちゃけ、気持ち悪いですよ〜。別の男に足開いてた女に笑いかけなきゃいけないのは。「愛してる」って言ってますけど、嘘です。いつ捨ててやろうかな〜?』

時に、恋や愛は望まぬ形で人の心を傷付ける。



静かなアラームの音で五月は目を覚ます。真っ白なシンプルなベッドから起き上がって窓を見れば、そこにはビルの群れが広がっている。

「……今日からここで、頑張るんだ!」

無理やり笑みを浮かべ、五月は支度を始めた。ずっと地方の会社にいた五月は、東京の会社に転職することにしたのだ。今日は出社初日である。
< 1 / 36 >

この作品をシェア

pagetop