プラトニック ラブ
揺れる想い
決心した留学
ーーセイが留学を固く決心した日の夕方。
CM撮影の為、学校からタクシーに乗って撮影スタジオに向かっていたセイは、前方の助手席に座る冴木に向かって話した。
「冴木さん」
「……ん、何?」
冴木は背後へと振り返る。
「先日は急に留学が決まって、ビックリするあまりまともな返事は出来なかったけど。……俺、アメリカに行きたい」
「セイ」
「語学、ダンス…、時間があったらピアノを再び学びたい」
紗南のお陰で不安要素が取り除かれると、冴木に前向きな姿勢を向けた。
「…その返事を待ってたわ。私も今のタイミングで留学した方がいいと思う」
「お願いします」
「でもね。実はその件について、1つ伝えなきゃいけない事があるの」
「伝えなきゃいけない事って?」
「先に隣で音楽を聴きながら眠っているジュンを、起こしてくれない?」
「あぁ…はい。………ジュン、起きろ。冴木さんから重大な話があるって」
セイは隣に座るジュンの身体を揺さぶり声をかけた。