国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
「オリヴィア…」

「お兄様こそ。もうすぐ縁談がまとまりそうなのでしょう?」

ブラッドリーにはライネルのとある伯爵家の令嬢との縁談話があった。
ブラッドリーも26歳になっており、貴族令息としては遅い縁談だがいろいろごちゃごちゃしていたのだから仕方がない。
たびたびデートにもでているという話をイブから聞いている。

イヴはかつてオリヴィアの侍女だったが、今はスタンフィールド侯爵家で侍女をしている。
オリヴィアについてくると言い張ったのだが断った。
ノアと二人でがんばりたいと…。

「まぁ…そうだな」

しぶっているようなかんじね。
やっぱりまだカルトナーに未練があるのかしら…。

ブラッドリーはアドルフとは幼馴染だ。
きっとアドルフが自分の妹に『結婚をなかったことにしろ』と言ったことをいまだに信じられないのだろう。

けれど、オリヴィアはしかとこの目で、耳で聞いたのだ。

アドルフはオリヴィアのことなど愛してはいなかった。

「オリヴィア。知っているか?ガーリア皇帝陛下が亡くなった」

「え?」

なですって?

では…アドルフは…?

「アドルフ殿下が皇帝陛下になられたのですか?」

最低な男だと、忘れたいと思っているのにどうしても気になってしまう。

「いや。それが…」

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