国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
「だから、今は泳がせているが…。とにかくおまえも注意しろよ。何なら、名前を変えてもいいかもしれない」

「それは抜かりありませんわ。神殿ではわたしはセカンドネームのアンを名乗っております。アン・コートナーと」

今は神殿での仕事中はセカンドネームのアンとアンネ叔母のコートナーを名乗らせてもらっている。

「ノアのことも気を付けろ。念のためノア・コートナーにしておけ」

「わかりましたわ」


長居はしないほうがいいだろうと帰っていくブラッドリーを見送り、オリヴィアはノアのために朝作って置いたケーキを冷蔵保管庫から出した。

「ノア。誕生日パーティーしましょう」

「はあい。おかあさま」

そしてオリヴィアがケーキをひとつだけある粗末なテーブルの上に置いたときだ。

ノアが蹴った玉がまともにケーキに向かって飛んできてしまった。

「あっ!」

オリヴィアがケーキを護ろうとしたが、少し動作が遅れてしまった。

あ、当たってしまう!

そのときだ。
玉がぐいーんと弧を描き、逆向きに回転したのだ。
そして、ノアが日頃使っているおもちゃ入れの中にストンと落ちた。

え?
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