国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
8.いなくなった子ども
『いい子はお眠り~♪幸せにね~。アマルルの花もにっこり微笑んでる~♪』

子守唄?

『あら、お目覚めでしゅか~。かわいいわたしの息子』

すごく美しい母の顔…。
その表情はまさに…。

はっとして目が覚めた。
かなりの寝汗をかいている。

これは…自分の記憶なのか?

『はぁはぁはぁ…』と息荒く、肩で息をしながら外を見るとそろそろ空が白んできているころだった。

まったく見たこともなかった夢。

メナードが自分をあやしている夢。

現実なわけないと思った。
赤子のときの記憶などないに決まってる。

それを夢で見るなど到底…。
あんな母が自分を愛していたことなどない。

アドルフは寝具の上にかけているオリヴィアからのプレゼントであるラグをギュッと握り締めた。
倒れて以来ずっと寝る時にはかけている。

そして
無性にオリヴィアに会いたくなった。
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