国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
逆に言うと魔術師側からもオリヴィアに治癒能力があるとはバレないということではある。

「敵に魔術師がいないことを願うばかりです」

そのまま馬車に揺られること5日間。間で何泊かはさまなければならない。

途中の宿では心配なのでアドルフはオリヴィアと一つの部屋をとり、ともに一つのベッドで眠った。

オリヴィアも不安だったようで何も言わずに着いてきた。

「オリヴィア。先に言っておくが俺はお前には何もしない。俺はお前の気持ちが俺に向くまでは何もしないから…」

「アドルフ。ありがとう」

オリヴィアは最初くっつかないようにしてわざと反対を向いて眠っていたが、震えているので、思わず抱きしめた。

「震えてる。これくらい許せ。見てられない」

「アドルフ。ごめんなさい」

その日、オリヴィアはアドルフの胸の中で思い切り泣いた。
泣きじゃくったと言うのが正しい。
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