国の再建のために捨てられたもと皇太子妃ですが強く生きています
5.再びカルトナーへ…
「もう秋の気配ね…」

カルトナーの東の院の庭をそぞろ歩きながらオリヴィアは独りごちた。

ここは何も変わってない。

この場所を去ってから6年。

本来なら手入れや修理が必要な箇所は、手を加えられることなく放置されている。

カルトナーは本当に荒んでいたのだろう。

ようやく悪を取り払った今も、忙しいアドルフはここまで手が回らないのだろう。

なんとかならないものかしらね。

「オリヴィア様。朝食の準備が整いました」

「ありがとう。行くわ」

宮廷侍女の制服にしても、今着ているのはもうかなり古い形のものだ。
新しく斬新なものを支給すれば皆もっとやる気を出すと思うのだけれど…。

けれど今のカルトナーの財政のことは全くわからないし…
皇后になることを拒否したわたしが図々しく口を出すのもね…。
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