23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
「ありがとうございました」

1ヶ月前から、アルバイトをしている駅前のコンビニの制服が、少しだけ板についてきて、胸元につけている、『エイトイレブン アルバイト 綾乃』の名札も見慣れてきた。

「美弥ちゃん」

振り返れば、恰幅の良い店長の長瀬さんが、こちらを手招きしている。

「パンの賞味期限切れ、あったら引き上げてきてくれる。廃棄するから」 

「はい、わかりました」

「あと、明後日はごめんね、午前中のシフトに変更させて、もらって」

「いえ、大丈夫です、お子さんの参観日たのしみですね」

私は、主に午後から夜23時までのシフトに入れてもらっている。

私は、廃棄のパンを引き上げて、事務所に置くと、手元の腕時計を確認する。

(勤務終了まであと5分……彼が来るまであと5分……)

ソワソワしているうちに、
コンビニ独特のピロロロロンと音が鳴って、彼がやってきた。

(来たっ!23時の王子様)
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