23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
仕立ての良い、上品なスーツに、ハイブランドのネクタイを締めて、ピカピカの革靴を鳴らしながら、毎日、彼は、決まって23時にやってくる。
彼は、店内のお弁当コーナーに真っ直ぐに向かっていくと、ほとんど陳列されてないお弁当の中から、いつも一つだけ選び、レジに持ってくる。
「お弁当は、あたためますか?」
私は恥ずかしくて、いつも彼の持ってきたお弁当を見つめながら、答えは分かっているのに、長身の彼を見上げながら、そう訊ねる。
「お願いします」
私は、レンジでお弁当を温めながら、彼から一万円札を受け取ると、お釣りを渡す。
彼の大きな掌に、小銭を乗せるだけで、心臓が跳ね上がりそうだ。
彼はさっと、高級なビジネスバックから、エコバッグを、取り出すと、私が温め終わったお弁当を入れる。
「有難う」
彼の少し高めの甘い声と綺麗な切長の瞳を見つめながら、「ありがとうございました、またお越しください」とありきたりな接客用語を口に出して、私は、彼のスーツ姿を見送った。
(はぁ……今日も緊張したな……)
ここで働き始めてから、1週間ほどたった頃だ。身だしなみからして、普通のサラリーマンとは明らかに違う、上質なスーツにハイブランドの時計や靴を身につけている彼が、コンビニ客として訪れるようになった。
彼の身につけている高級な装飾品は、容姿端麗な彼の魅力をより、引き立てて、まるで小さい頃よく読んだ、絵本の中の王子様のように見えた。
ーーーーどこの誰かも分からない、その彼を、私は勝手に、『23時の王子様』と名付けて、彼が、店にやってくる、23時を楽しみにしていた。
彼は、店内のお弁当コーナーに真っ直ぐに向かっていくと、ほとんど陳列されてないお弁当の中から、いつも一つだけ選び、レジに持ってくる。
「お弁当は、あたためますか?」
私は恥ずかしくて、いつも彼の持ってきたお弁当を見つめながら、答えは分かっているのに、長身の彼を見上げながら、そう訊ねる。
「お願いします」
私は、レンジでお弁当を温めながら、彼から一万円札を受け取ると、お釣りを渡す。
彼の大きな掌に、小銭を乗せるだけで、心臓が跳ね上がりそうだ。
彼はさっと、高級なビジネスバックから、エコバッグを、取り出すと、私が温め終わったお弁当を入れる。
「有難う」
彼の少し高めの甘い声と綺麗な切長の瞳を見つめながら、「ありがとうございました、またお越しください」とありきたりな接客用語を口に出して、私は、彼のスーツ姿を見送った。
(はぁ……今日も緊張したな……)
ここで働き始めてから、1週間ほどたった頃だ。身だしなみからして、普通のサラリーマンとは明らかに違う、上質なスーツにハイブランドの時計や靴を身につけている彼が、コンビニ客として訪れるようになった。
彼の身につけている高級な装飾品は、容姿端麗な彼の魅力をより、引き立てて、まるで小さい頃よく読んだ、絵本の中の王子様のように見えた。
ーーーーどこの誰かも分からない、その彼を、私は勝手に、『23時の王子様』と名付けて、彼が、店にやってくる、23時を楽しみにしていた。