23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
「颯、入っても良い?」

電話が終わるまでは待ってたんだろう。
美弥が、ルイボスティーをいれたグラス片手に、こちらに視線を向けていた。

「おいで」

美弥は、デスクのサイドテーブルにコトリとグラスを置くと、そのまま、俺に背を向けようとする。俺は美弥を後ろから抱きしめて、そのまま、抱っこするような形で、デスクチェアに座りなおした。

ふわりと美弥の良い香りが鼻を掠める。同じシャンプーとボディソープを使ってる筈なのに、美弥自体がデザートのように、甘く感じるのは何故だろうか。

「颯っ……」

俺を、振り返ろうとして、俺と顔が近いことに気づいた美弥が慌てて、また前を向く。

「抱っこして欲しそうにしてたけど?」

「し、してない」

抱きしめてる俺の腕を通して、美弥の鼓動が、とくんとくん、と伝わってくる。

「じゃあ、何で覗いてた?」

「ミャーが……颯の部屋から出てこないから……」

視線をベッドに向ければ、陽だまりの中、ミャーは丸くなって心地よさそうに目を三日月にしている。

「気になったのはミャーだけ?」

俺は、美弥を抱えたまま、冷えたルイボスティーを、一口、口に含んだ。こくりと飲み込めば、口の中がひんやりとして、どこか甘酸っぱい爽快な後味が口内に広がる。

「……あの、颯、そろそろ……離して」

「離したくないって言ったら?」

美弥の顔は、先程までは、ほんのり薄紅色だったのに、今はもう真っ赤だ。俺は、そんな美弥を眺めながら、再度ルイボスティーを口に含んだ。

「意地悪しないで……」

ゆっくり、俺の方に顔を向けた、美弥の顎を掴むと、俺は、美弥の小さな唇を包むように口付ける。

「ンンッ……」

舌を割り入れて、美弥の喉が、ゴクッと鳴ったのを確認してから、俺はすぐに唇を離した。

「美味かった?」

「……味なんて、わかんないよっ……」

ははっと笑った俺を見ながら、美弥がキョトンとしている。

笑いたくもなる。だって、今、俺の腕の中には、あの美弥が居るのだから。
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