green mist      ~あなただから~
 真央さんは、諦めたようにため息をつくと、翔真を抱えてテーブルに座った。花にパパを取られる心配がないのか、翔真もいつもより甘えているようだ。


「花、ママの作ったプリンいっしょに食べようか?」

 良介君が、花をベビーチェアに座らせる。慣れたものだ。

「あーい」

 花もご機嫌でキャッキャと声を上げている。



 窓からの風に、植物達が揺れた。

 シュッ シュッ

 霧吹きをもって、緑の葉に水を吹きかけた。


「ねえちゃん、幸せそうだな」

「そうね」
「そうだ」

 真央さんと同時に返事をしていた。二人で顔を合わせて微笑んだ。
 
 
 若いうちに結婚して、子供達の世話に追われる事をもったいないと言う人もいる。
 そりゃ、時々喧嘩もするし、育児に追われていっぱいな事だってある。

 何が正しい選択かなんて誰にもわからない。自分の幸せは、自分で気付くものだから。


 だけど、子供達のはしゃぐ声と、真央さんが一緒にいるこの時を……

 幸せだと思わずにはいられない……

 あなただから……


 green mist      「完」


 
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