green mist      ~あなただから~
 花は良介くんに着替えさせてもらえて、満足そうに抱かれている。


「今日、塾じゃないの?」

「テスト明けで、振替休みだよ」

「そうなの。子供達と一緒に、おやつ食べて」


「ありがとう、また、おじさん遅いのか? ねえちゃん一人で育児やってるじゃないか。
 全く、無責任だな。今時、家事、育児を嫁に任せっぱなしなんてあり得ない。もっと、おじさんに、手伝わせなよ」


「悪かったな、無責任で。お前こそ、勉強ちゃんとやっているのか?」

「パパー、おかえり」

 翔真が、真央さんに飛びついて行った。真央さんは、嬉しそうに翔真を抱き上げた。


「あら、早かったのね」

 夕食前に帰ってくるなんて珍しい。抱えていた大きな案件が解決したのだろう。真央さんの顔に、安堵の色が見える。


「俺、頭いいから。今回のテストもトップ維持だ」

「ふんっ。成績だけじゃ弁護士にはなれないからな」


「凄いじゃない! 本当によく勉強しているものね」

 良介くんは、だいぶ字もかけるようになってきたが、テストもタブレットで受けられるのが一般的になりつつある。


「花おいで」

 真央さんが、花に手を差し出した。


「いやー にーちゃ」

 花は、良介くんから離れない。


 花が良介君の花嫁さんになるのだが、それは、しばらく先のお話だ。
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