愛を欲しがる幼なじみは可愛い妻と我が子を手に入れたい
幼なじみとの突然の婚約?
 花見の季節も過ぎて暖かい日々が続いている今日この頃。

 住宅街の一軒家を改築し、一階部分は小料理屋、二階は住居としている我が家。

 ゴールデンウィークの最中にもかかわらず、"小料理屋 文月"にはお客様がほとんど居ない。以前は土日ともなれば、常連客や新規の方々で賑わっていたのに……。

「一度、食中毒を出してしまった個人の飲食店は立ち直るのが難しいんだ。恵、もう諦めてくれ」

 小料理屋の店主である父が、私に向かって申し訳なさそうな顔をする。

少し前まで、両親が営んでいる小料理屋は大盛況だった。

 一人娘の私、文月恵(ふみつきめぐむ)も接客係として一緒に働いていたが、最近では店内で暇を持て余す毎日。

 料理人が父だけでは間に合わず、サポートしてくれるアルバイトの従業員を雇ったのだが、今まで一度も出なかった食中毒が発生してしまう。営業停止期間を経て、営業再開をしたのだが……閑古鳥が鳴いていた。

 私たちはアルバイト店員を全く疑うことをしなかったのだが、後日に腹痛や吐き気を訴えるお客様が続出したのだ。その後、アルバイト店員も症状を訴えた。

保健所の立ち入り検査が入ったところ、カンピロバクター菌が確認される。

 アルバイト店員を含む私たち四人も検査を受けたが、私たち家族からは体内からはカンピロバクター菌は検出されなかった。しかし、アルバイト店員からは検出されてしまう。
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