2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
「……悪いですがあなたみたいな人に、富士野部長は譲れません」

「譲ってもらおうなんて思ってないわ。
準一朗は私のものなの。
返してもらうだけ。
それに」

言葉を切った彼女は、私の顔を見た。

「すぐに許してくださいってあなたのほうから謝ってくるわ」

にたぁとイヤラシく彼女の顔が歪む。
それに背筋が寒くなった。

「じゃ、私は用も済んだし、もう行くわ」

ひとりになってもしばらく呆然と、その場に座っていた。
偶然なんて嘘だ。
私がひとりでここに入るのをどこかで見張っていた。
しかし、彼女がここまで部長に拘るのはなんなんだろう?
本当にあれが全部なんだろうか。
なんか……引っかかる。

「あっ」

携帯が通知音を立て、思索から目の前へ視線を戻す。
部長から仕事が終わったがどこにいるのか、まだ近くにいるのなら夕食を食べて帰ろうとメッセージが入っていた。

「……うん。
今は考えない」

近くにいるから会社に行くとメッセージを送り返し、携帯をバッグにしまう。
次になにが起こるかなんて考えたってわからない。
そのときになったら考えよう。

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