2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
「それって、演技しているってことですか?」

私たちは部長にずっと欺かれていた?
ジェントルなんて呼んで慕っている私たちは、さぞ滑稽だっただろう。

「いや?
言葉遣いが違うだけで、特に演技とかしてないぞ。
いつも敬語なのは敵を作らないためだな」

「ああ……」

それは心当たりがあるだけに、納得だった。
私の直属の上司である生野(いくの)課長は富士野部長よりも十も年上で、なにかと敵対心を抱いている。

「大変、ですね」

「まあな」

その割に彼の声は、軽かった。

一時間ほどかかって私の住んでいるマンションに着いた。

「いろいろありがとうございました。
それじゃあ」

「五分で準備しろ」

「……は?」

唐突になにを言われたのかわからなくて、まじまじと彼の顔を見る。

「今日から俺の家で生活できるように、五分で準備してこい」
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