2番ではダメですか?~腹黒御曹司は恋も仕事もトップじゃなきゃ満足しない~
「えっと……?」

部長の家で生活とか聞いていないし、それに五分で準備なんて無理に決まっている。

「300。
299,298……」

「えっ、待って!」

戸惑っている私を無視して、無情にもカウントダウンが始まる。
なにもわからないまま慌てて車を飛び降り、自分の部屋へ向かった。

「おまたせしました……」

キャリーケースを出す余裕もなく、手近にあった紙袋に必要最低限の着替えと化粧品などを詰め込んで車に戻る。

「遅い」

車に寄りかかり、腕を組んで待っていた部長は私の手から紙袋を取り、トランクに積んだ。
遅いと言われても、たった五分で準備してこいなんて言うほうが間違っている。

「服とか生活用品とか買うからいらない。
着替えてくるだけでいいのに、どうして十五分もかかるんだ」

「そんなの、聞いてませんよ!」

自分勝手な言い草に、つい噛みついていた。
最初からそう言ってくれていれば、五分は無理でももっと早く戻ってこられていた。
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