【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?
だけど、驚いたのは自分自身にだけでなかった。
アスター王子の手がいきなりわたしの手に重なり、優しく包まれるように握られたんだ。
「ありがとう、ミリィ。だが、おまえも悩みや苦しみ悲しみ……すべて一人で背負うな。おまえがもし過ちや罪を犯しても、オレはすべて分かち合う覚悟はある。どんな些細なくだらないことでも、オレに言ってこい」
そう言って微笑んだアスター王子の眼差しは、とても優しくて暖かい。力強い彼の手から伝わるぬくもりがわたしの鼓動を自然と速めるけれども……なんだろう?とても心地よい。
アスター王子ならば、今言った言葉通りにしてくださるだろう。有言実行の鏡のようなひとなんだ。だから、信じられる。
「……はい」
そして、この手を離したくない、と思った。
なにもかも委ねられる、わたしがこの世界で一番信頼できるひと。
そんなアスター王子が、さらに驚く行動をした。
わたしの手を持ち上げると、軽くだけどその指先に口づけたんだ。
心臓が、壊れるかと思った。
だけど、なんだろう……触れられた指先から、甘くしびれるような熱がじんわりと心と体に広がって。身動きがとれなくなる。
「……この指輪に誓おう。オレは、必ず何があってもおまえを護ると」
いつの間にか、左手の薬指にあった指輪。真摯な眼差しでそう誓ったアスター王子は、いつになく頼もしい気がした。
だけど……
「ありがとうございます……でも、ぼくもあなたを護りますからね。騎士を目指すのですから、それくらい当たり前です」
護られっぱなしではだめだ。わたしも彼を護れるくらい強くなりたい。心底そう思うと、アスター王子が「さすがミリィだ。頼もしいな」と笑った。