捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?
龍騎士2


とりあえずソニア妃の住まう離宮に移動し、具体的な話がなされる。

「最近、フィアーナ内部でも妙な動きがあると間諜から情報があった」

高祖母様がいる場でアスター王子が機密事項を話すのは、完全に彼女が味方だからだろう。ピッツァさんは「大船どころか泥舟じゃねぇの?」って言ってたけど。

「あー、アタシも聞いたわ。なんか、国境の副王がやけに強気の発言してるらしいな」

アスター王子の話にピッツァさんが付け加える。

「ファニイちゃんも大変ねえ…御即位されて20年は経つけど、まだまだ言うことを聞かない連中がいるもの。でも、あのひと一見優しげに見えて結構負けん気が強いもの。大丈夫かしらぁ」

ソニア妃がフィアーナの女王陛下について話すけど、なんだか個人的に知ってるような口ぶりだ。というか、女王陛下をファニイちゃん呼びって…。
だから、思わずソニア妃に訊いてみた。

「えっと、ソニア妃殿下はファニイ女王陛下をご存知でいらっしゃるのですか?」
「もちろんよぉ。ファニイちゃんはむかしドラゴンを駆る戦士だったもの。フィアーナが内乱状態で不安定だった時には傭兵仲間として一緒に戦っていた時もあるのよぉ」
「え、女王陛下が傭兵でいらしたんですか!?」

女王陛下に即位されてらっしゃるならば、王女殿下だったはずなのに…傭兵?さすがにそれは驚きだ。

「まぁ、ファニイちゃんは前の女王陛下に親戚に預けられてて出自は知らなかったみたいだものね。だから、育ちはほぼ平民なの。すごく親しみやすくて可愛らしい子なの〜」

……いや、だから女王陛下をあの子呼ばわりは…。
< 340 / 562 >

この作品をシェア

pagetop