捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?

「母上の顔の広さは知っていましたが…どれだけ広いのですか?」

息子のアスター王子が呆れ顔で御母上様であるソニア妃に訊ねれば、彼女はコロコロ笑いながら指折り数える。

「そうねぇ〜あんまり知らないけど……隣のノイ王国のメイフュ国王とか、ウゴスタダ大公国のオレチナ皇帝とか、あとは…そうねえ。王妃様のご出身の国の首相……ミイナちゃんだったかしら〜あと何人かいたわね」

……いや、それ。あんまり知らないレベルじゃない気がしますけど。

「じゃあ、ソニア。アンタが女王陛下に話しに行きゃ話せるのか?」

ピッツァさんがそう提案してみると、ソニア妃はうーん…と一応考えて…なかった。

「大丈夫よぉ。謁見が通らなかったら、自分の足で歩いていくから」

コロコロ笑うソニア妃だけど……それ、絶対歩いていく=魔術や力技で強引に通るって意味だよね。

「母上……お願いですから止めてくださいね」

アスター王子が自重するように求めても、肝心の本人は「あら、なぁーぜ?後でちゃんと直すのにぃ」とぷっくり頬をふくらませる…よく、この人から比較的常識的なアスター王子が生まれたな…と思う。変態には違いないけど。

「……とにかく、いざという時にはソニア妃殿下のツテも使える、という事ですよね?」

話が進まないからわたしがそう言えば、アスター王子は「あくまで最終手段だな」とおっしゃられた。

「フィアーナにも内部工作はしているが、なにせあちらは副王の権威が思ったより強い。実質上州ごとに独立国と変わらないからな」
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