捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?
「……ノプットの女王陛下であられるキルシェ陛下には一度だけお会いしました。陛下は騎士を目指したことがある…と。その時に、わたしの中で騎士を志す意志はより強まりました。“男だから、女だからということは関係ない。わたしがそれを証明するんだ”…と。
まあ、当時は子どもゆえの無知もありましたけど。それでも、自分自身なりに努力と精進はしてきたつもりです」
自分自身の騎士になる揺るぎない決意のきっかけとなった御方。
貴族や王族の女性であろうと、平民であろうと、騎士になる女性はあまりに少ない。
ソニア妃のような規格外の御方や女性でもピッツァさんのような恵まれた体格の女性ならまだしも、一般的な女性ならば騎士を目指すだけで大反対される。女性だから無理だ、と。
現にわたしだとてお母様がずっと反対されてきた。お父様は苦笑いするだけで、反対とも賛成ともおっしゃられなかったけど。
やはり、実際に騎士を目指すと性別のハンデは肉体的な点で大きい。お母様が懸念された通りに。
わたしもずっとその事で悔しい思いをしてきたし、男の子たちを羨ましいと思う。
でも、自分が女性であることは変えられない。それでも騎士を目指すならば、倍以上努力して追いつくしかない。
そして、女性であることを生かした騎士としての在り方を探る。
ともに切磋琢磨してきたフランクスにも言われた、わたしの特性を生かしたわたしなりの戦い方を。