捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?

「確かに、オレが見てきた女性で騎士を目指すひとは少なかった。母上やピッツァは規格外だったが…」

アスター王子はわたしより年上だし長く見習いをしていたから、ここ最近でもまだまだ女性で騎士を志願する人数は事実少ないだろう。わたしが見聞きした中でも皆無だった。

「女性だから、という性別ゆえの弱さ……わたしは負けん気で克服しようとしていますが、やはりそれでも超えられない壁はある…と、薄々と感じてはいます」

これは、おそらく生まれながらに持った資質も影響している。器で例えれば、決まった量の水を注げばそれ以上の水はあふれこぼれてしまうように。人の能力にも器があるだろう。

けれども、わたしは自分自身の限界は自分で勝手に決めたくはない。

今までわたしのように騎士を目指しながら、女性であるがゆえに涙を飲んで諦めた人たちはたくさんいたはずだ。

「……少し、考えたことはあるんです。例えば、わたしの下着なんですが……ピッツァさんに教えていただかねば適切なものを見つけることすらできませんでした。やっぱり、騎士は男性社会なので相談できる人は少ない……だから、女性でも騎士を目指しやすくする、そして効率的に鍛えるには、みんなが集まって鍛え勉強した方がいいと思うんです。
つまり、専門の訓練施設があれば……と」

そのこと(下着)をぶっちゃけるのは恥ずかし過ぎたけれども、他にいいたとえがなくてあえて出しておいた。

今の騎士見習い制度を批判するわけじゃないけれど、幼少期から小姓をしながらだとどうしても時間がかかってしまうんだよね。

わたしが14歳からの遅いスタートで小姓をしながらも、アスター王子のお陰で従騎士にはなれたけれども。本来ならばもっと幼少期から目指すのが普通なんだから。


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