捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?
目標2

「ならば、ノプットの竜騎士のように、専門の養成学校でも作るか?」


アスター王子がそんなふうに提案してくださって、わたしの中でくすぶっていた想いが形になった気がする。

そもそも王侯貴族でさえ、学校という形で学ぶことは滅多にない。
他の国では様々な種類の学校があるみたいだけど、ゼイレームは基本的に家庭学習だ。教師を招いて勉強をする。きょうだいがいれば一緒に学ぶことはあるけれども、個人学習が一般的。

ゆえに親の経済力で学力差や教養差が生じやすいし、低収入家庭の子どもでは読み書き計算すらろくにできなくなり、単純労働を安い賃金でせねばならなくなる。

(そうだ……騎士を目指すには、推薦と確かな身分と…騎士叙任式を開催する莫大な費用が必要なんだ。経済力と身分が無ければ目指せない……その点もずっと気になっていた)

もしみんなが一斉に叙任式をして、それを国の負担にすれば…経済的な問題で騎士を目指すことを諦めていた人にも道が開ける。

むろん、資質を問う選抜試験のようなものは必要だろうけど……泣く泣く諦めていた優秀な人が騎士になれるならば、国にとってもメリットはあるはずだ。

今まで王侯貴族や大富豪の子息でしか騎士になれる道がなかったことが問題なんだ。

女性でも、一般市民の子息でも、優秀な人ならば騎士を目指せる学校を作る。わたしの中ではっきりした目標ができた。


「そうですね……わたしが王妃になったら、養成学校を作りたいと思います。今まで目指せなかった人たちが目指せるように」


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