【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?
そのまま流されたい気持ちは、今ならばよく理解できた。
だけど、常に冷静にあれと言い聞かせてきた心の一部があって、しっかりと自分を保たせる。
「アスター王子」
「なんだ?」
「子どもは、まだ早いですからね?」
彼を見上げてにっこりしっかりと釘を差しておいたら、少し眉を寄せて「それはない」と否定されました。
「オレも色々と……ミリィに触れたいのは山々だが、無責任な事はしないししたくないからな……それに」
アスター王子は少しだけわたしを抱く腕に力を込めると、顔を傾けてわたしの顔を覗き込む形になる。
「……なによりも、おまえが大切だからな。自分の欲を満たすために、一方的な事はしたくない。今が結婚後で夫婦だとしても、義務だからと強制はしない。おまえが心から望んだ時でいい」
そういったアスター王子の淡い水色の瞳には、優しさが満ちていて……同時に、なんだか熱さも孕んでる。すぐそばに整いすぎた顔があって、心臓が壊れそうなくらいにドキドキしだした。
「……わたしも、あなたが大切です。だから、流されないようにと常に自分に言い聞かせてきました」
わたしの言葉に、ふ、とアスター王子が微笑む。
「……ミリィらしいな」
「はい」
なんだか可笑しくて少し口元が緩む。するとフッと微かに空気が動いて、唇に暖かく柔らかい感触。
目の前にある悪戯っぽいアスター王子の笑みで、今、一瞬でキスをされた……と理解できた。