【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?
「エストアールの…風の薫りがします」
まだ、なにも知らない子ども時代。
男女関係なく地元民の子どもと遊び回っていたな。
エストアール家の領地ではハーブの栽培も盛んで、あちこちに天然ハーブが自生してた。
多少の怪我や病気は、そういった薬草でどうにかしてたっけ。
他には無い固有種もいくつかあって、今口にしたブレンドでその香りを思い出す。解毒や疲労回復の薬効があるハーブだった。
お茶の温かさとともに、ソニア妃の思いやりが体に染みわたる。ぬくもりは体温だけじゃない、としみじみ感じた。
そして、ひと息ついた後には明らかにせねばならない情報を口にする。
「……水筒を渡してきたフランクスは、おそらくなにも知らないと思います。もしも何らかの意図があり毒物が入っていると知っていたならば、ああまで自然に振る舞えるはずがありません。それに…彼は、マリア王女の婚約者。アスター王子の婚約者であるわたしは将来彼の義理の姉となる。そんなわたしに毒を盛れるほど愚かではありません」
この1年、フランクスとは同僚として仲間として切磋琢磨しあい、何でも相談しあう大切な友達だ。
私情を抜きにしても、本気で信頼に足る人物。わたしはそう言い切れる。
すると、ソニア妃も頬に手を当てて「そうねぇ」とおっしゃる。
「……わたくしたちが張った結界の中で特に異常は無かったわ。もしもミリィちゃんの身に異常があればすぐ察知できるようにしているもの。ミリィちゃんの言う通り、その子は利用されただけね」
ソニア妃にそう断言されて、ほっとした。
フランクスが咎められるなんて、わたしが我慢できないから。