【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?
でも、こうしてじっとしながら護られるだけなのは性に合わない。
昔から活発でやんちゃな性質だったし、騎士を目指す今も自分の問題ならば自分で動いてどうにかしたい気持ちが大きい。
(……なにか、できないか?こんな状態でもわたしが出来ることは)
歯がゆさから、ついつい焦りに近い気持ちが生じて落ち着かなくなる。お茶を楽しむ余裕が無くなり、そわそわと視線を彷徨わせてしまう。
すると、フッ、と小さな笑い声が聞こえてそちらを見れば、アスター王子が肩を揺らして笑ってた。
「……やっぱりミリィだな。自分でどうにかしたくてそわそわしてる」
それは確かにその通りなのだからなにも言えないけど……。
少しだけカチンときたわたしは、半笑いでアスター王子へ申し上げて差し上げました。
「はい、そりゃあもう。騎士ならば護られるより護りたいものではないですか?なんなら、アスター王子もわたしが護って差し上げますよ?大切な王子様ですから」
「……見事な棒読みだな」
「ソウデスネービビッテコシガヒケタエイユウサマ」
「おい……」
いつもの馬鹿なやり取りが始まるかと思われたけれども……アスター王子がフッと笑む。それは、可笑しかったり嬉しくて生じる笑顔じゃない。自虐的な笑みだった。
「……オレは、英雄なんかじゃない」