私を愛するその人は、私の向こうに別の女(ひと)を見る
「入社してからずっと、いつも仕事中に遠目に見てた。自販機の裏まで掃除機のノズル回してる、丁寧な清掃員さんだって思ってた。顔見て、びっくりした。若いし……可愛かったから」
「嘘……」
「嘘じゃない。ってかさ、気にしてなきゃ、名前なんて覚えないでしょ? あの日、声かけられてドキッとしたのに、あの紙を拾っててくれたって分かった時は、運命だって思ったんだから。……ちょっと強引だったよな、とは、反省してる」
でも、それだって……。
「私を気になったのだって、アリサさんに似てるからなんじゃないですか?」
「アリサと紗佳は、言われてみれば雰囲気は似てる……かも」
一瞬小首を傾げる瑞斗さん。
「でも、全然違うから!」
きっぱりとそう言い切られ、私はぽかんと口を開いた。
そんな私を一瞥してから、瑞斗さんは手元に視線を移した。珍しく、もじもじとしている。
「……一目惚れだったんだ」
ちらりと上げた瑞斗さんの視線が私のそれとぶつかって、彼はそのまま目線を下にもどしてしまった。
「紗佳と飲んで、紗佳の優しさを知った。紗佳の奥に感じた弱さを、全部僕が守ってあげたいって思った」
瑞斗さんは言いながら、ちらちらと視線を上げる。
そうして、私と視線が合う時間が、徐々に長くなっていく。
「紗佳が父子家庭だって聞いて、ドキッとした。アリサと同じ思いをしてきたかもしれないって思ったら、余計に放っておけなくなった」
今度は私を、じいっと見つめた。
「でもそれは、アリサに感じてた気持ちとは違うから」
「嘘……」
「嘘じゃない。ってかさ、気にしてなきゃ、名前なんて覚えないでしょ? あの日、声かけられてドキッとしたのに、あの紙を拾っててくれたって分かった時は、運命だって思ったんだから。……ちょっと強引だったよな、とは、反省してる」
でも、それだって……。
「私を気になったのだって、アリサさんに似てるからなんじゃないですか?」
「アリサと紗佳は、言われてみれば雰囲気は似てる……かも」
一瞬小首を傾げる瑞斗さん。
「でも、全然違うから!」
きっぱりとそう言い切られ、私はぽかんと口を開いた。
そんな私を一瞥してから、瑞斗さんは手元に視線を移した。珍しく、もじもじとしている。
「……一目惚れだったんだ」
ちらりと上げた瑞斗さんの視線が私のそれとぶつかって、彼はそのまま目線を下にもどしてしまった。
「紗佳と飲んで、紗佳の優しさを知った。紗佳の奥に感じた弱さを、全部僕が守ってあげたいって思った」
瑞斗さんは言いながら、ちらちらと視線を上げる。
そうして、私と視線が合う時間が、徐々に長くなっていく。
「紗佳が父子家庭だって聞いて、ドキッとした。アリサと同じ思いをしてきたかもしれないって思ったら、余計に放っておけなくなった」
今度は私を、じいっと見つめた。
「でもそれは、アリサに感じてた気持ちとは違うから」