怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
「おのだ屋、店畳んだんだな」

「え?」

地下駐車場を出て、大通りに入ると相良さんが小さくそう呟いてハッと我に返る。進行方向をまっすぐ見据えて、その横顔はほんの少し切なげな影を浮かべていた。

「ええ、そうなんです。実は三年前、父が脳出血になってしまって……なんとか一命は取り留めたんですけど……もう、今は言葉も交わせない状態で」

悪夢のような悲劇が起きたのは、私が就職してしばらく経った頃だった。

ようやく新人から卒業し、なんとかひとりでも調理を任されるようにもなり、充実した毎日を送っていた。そのときはまだ実家で両親と暮らしていて、ある日帰宅すると一階で父が倒れているのを見つけた。母は二階にいて気がつかなかったという。

父は生死の境をさまよい、なんとか開頭手術により救命はされたけれど、寝たきりでいわゆる植物状態になってしまった。
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