怜悧な外科医の愛は、激甘につき。~でも私、あなたにフラれましたよね?~
そして翌朝。

「昨夜はすまなかった!」

パン!と手を合わせて相良さんはバツが悪そうに頭を下げた。

「いえ。でも安心しました。何かあったんじゃないかって心配しましたよ。さすがにひとりでベッドまで運べなくて……フローリング、痛くなかったですか?」

昨夜、なんとか覆いかぶさる相良さんから脱出して一度は寝室へ運ぼうと試みた。けれど、彼の体格は意外にがっちりしていて引きずることすらできなかった。だからクッションを頭に挟んでソファーに置いてあったブランケットをかけて、そうこうしているうちに夜が明けてしまった。

「論文を書きながらいつの間にか床で寝てるなんてことは日常茶飯事だから慣れてる」

頬を人差し指で掻きながら恥ずかしそうにしている姿がおかしくて、つい笑がこぼれた。

「もしかして、相良さん、相当疲れてたんじゃないですか? あんなにすぐ寝息立てるくらいだったし」

「はぁ、実は、近ろくに飯にありつけなくて、昨夜は久々にゆっくりできたと思ったら……」

お酒も入ったせいで猛烈な睡魔に襲われた。ということらしい。

やっぱりそうだったんだ。

今のところ仕事は落ち着いているとは言っていたけれど、やっぱり忙しいには変わりない。

私と飲みに行くためにわざわざ時間を割いてくれたんだ。

そう思うと嬉しい反面、貴重な相良さんの休息時間を取ってしまった罪悪感に見舞われる。
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