可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜

 ***

 翌日の午後。
 迎えに来てくれた付き人の八神くんの運転で飯倉スクエアに向かった。

 年末で道はガラ空き。
 車が少ない分、東京の空はいつもより澄んでいる。

 地下駐車場に着くと、彼はドアを開けてくれた。 
「どうもありがとう」
「いえいえ、どういたしまして」

 会釈して別れようとしたとき、八神くんが「そうそう」と話し始めた。

「榊原さん、今日は朝から超ご機嫌で。現場でみんなにコーヒーおごったりして大盤振る舞いしてましたよ。よっぽど嬉しいんですね」とニヤニヤ。

「そう、だったんだ」

 うん、なんか目に浮かぶ。
 宗介さん、その時点の感情が、モロ態度に表れるから。
 
「彼のこの後の予定、知ってる?」
「今、渋谷で撮影中です。俺もこれから向かうんで。でも、今日は遅くならないと思いますよ」
「そう、じゃあ、向井さんによろしく」
「はーい」

 八神くんはおどけて敬礼のポーズをして、運転席に乗り込んだ。
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