可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
 そうやって話しているあいだじゅう、宗介さんはずっとわたしを見つめていた。

 その眼差しがとことん優しくて、わたしはつい、普段なら誰にも言わないような愚痴までもらしていた。

「ベテラン社員さんのなかには、『業界のことを何も知らない、それも女のコンサルティングなんて』と胡散臭い目で見る人もいて、そういう方たちを納得させるのはなかなか骨が折れるんですよ」
 
「ふーん。苦労が多いんだな、橋本さんの仕事も」

「うーん、でも、それはどの仕事でも同じじゃないですか。宗介さんだって、やりたくない仕事とか、たくさんありそう」
「まあ、そりゃあね」


 こうして、はじめてのふたりきりの食事は和やかに終わり、いつものようにエレベーターで1階まで降りた。

「じゃあ、おやすみなさい」
 別れ際、そう言って後ろを向いて歩き出そうとしたとき……

「橋本さん」と呼びとめられた。
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