もっと求めて、欲しがって、お嬢様。
「理沙がつるむ相手にしては予想外のタイプだな」
「…私の唯一のお友達なんです。すごくいい子で、」
「そうなのか」
ほら、なんにも覚えてないじゃない。
今だって言葉を遮ってきた。
私の話なんか最初から聞いてもいなければ、興味だってないってことだ。
それにバカエマのことを見下すような言い方だって腹が立つ。
「友達と楽しむのはいいが、まずは婚約者である僕を優先させるべきじゃないか?」
「…すみません」
「えっ、理沙…?」
まさか私が大人しく頭を下げるだなんて思ってもいなかったんだろう。
エマはどこか空気を感じとるように、私たちを交互に見つめた。
「本当に礼儀作法をきちんと学んでいるのか?ここはたくさんの御曹司やお偉い方が集まるパーティーなんだ。
僕の婚約者として、行動には慎(つつし)んでくれ」
「…はい、すみません」
こんなところでお説教。
どっちが慎んでいないんだと、周りが見えてないのは佐野様だ。
「それとなんだ、そのドレスは。地味すぎないか?君ならもっとセンスも良いはずだというのに」
「……、すみません、」
「髪だってくくりあげるとか、それは僕が好むヘアスタイルじゃないぞ」
「……はい、ごめんなさい、」