もっと求めて、欲しがって、お嬢様。




「私も…幸せになれると思う…?」


「なれるに決まってるよっ!!わたしが四つ葉を渡して笑顔にならなかった人なんかいないもんっ!!」



でもねエマ、私は本当は誰よりも欲張りだから。

その笑顔を、幸せを、“誰と望むのか”ってところまで求めてしまうの。



「あっ、ねぇ理沙っ!バルコニー行こうよ!ちょっと寒いかもだけど、あそこなら人も来ないと思うからっ」


「そうね」



こうして友達と笑いあうのも悪くない。

逆に楽しいかもしれないと、憂鬱だった気分は消えかかっていた。


──────のに、



「理沙、探したよ」



とうとう現れてしまった男がひとり。


遠くで見守っている碇に見えてしまっていないだろうかと不安もあった。

でも見えていて欲しいとも思って。

ここから連れ出して欲しいって、期待はいつも心の奥にあった。



「……佐野、さま、」


「えっ!この人が理沙の婚約者…!?」


「お友達かい?ずいぶんと賑やかな友達だね」



とっくの前にリモート対談で教えている。

賑やかで優しい友達が1人いるって、だから学校は楽しいですって。



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