もっと求めて、欲しがって、お嬢様。
epilogue
「では次、九条さん」
「はい」
定期的に行われる実技テスト。
そんな今日は華道。
先生と1対1で向かい合って、クラスメイトたちに見守られるなかで行う。
私の前に披露したエマは、保留という名のギリギリ合格をもらっては喜んでいた。
「───うん、色合いもテーマもぴったし。素晴らしい出来前だわ、合格よ」
「ありがとうございます」
「おーっ!やったね理沙っ!」
まったく、当たり前じゃない。
あんたなんかより成績もいいんだから私は。
自分のことのように喜んでくれるエマは、今では大切な親友だ。
───季節は高校3年生の5月。
最初のテストでは無事に合格、どうやら幸先の良いスタートが切れたみたい。
「ふっ、破談になったんですって」
「理沙も破壊神と同レベルってことね」
「たとえ執事が仮のSランクだとしても、表向きはDランク。それにお嬢様があれじゃあね」
とは裏腹に、もちろん噂するクラスメイトはちらほらと。
それもそうだ。
こんなものは仕方のないこと。