もっと求めて、欲しがって、お嬢様。




破談となってしまい、婚約者が取り消され、卒業までに新たに決める予定もない。

そんな生徒は聖スタリーナ女学院の教育方針として言えば、ありえないことなのだから。


だけど私たちさえ堂々として気にしていなければ、なんの問題もない。



「あら…?九条さん?」



丁寧にお辞儀をして元の場所へ戻ろうとした私の何かに気づいたのは、華道担当の先生だった。



「ここ、首のところ。大丈夫かしら?幾つも虫に刺されているみたいだけど…」


「っ……!!」


「あまりひどいようなら病院に行きなさいね。それか保健室から塗り薬をもらうとか」



髪の毛で隠しているつもりだった、隠せていると思ってた……っ、


今朝だ、これは今朝のものだ。


昨日までのものがやっと消えて、これで周りに怯えず生活できると安心していたのもつかの間。

彼はまた追加させるように幾つも幾つも赤いシルシを付けてきて。



「あっ、だ、大丈夫です…!!ありがとうございましたっ」


「九条さん…?」



逃げるように立ち上がる。

もう碇……っ!!
だから言ったんじゃないっ!!



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