もっと求めて、欲しがって、お嬢様。
『あ、当たり前よ。あなたなんかを執事にできるお嬢様は私くらいなんだからっ』
『はいっ、そのとおりでございます!』
『…認めてどうするの。もっと執事としての威厳はないの?だからCランク止まりなのよ!』
『あっ、すみません…!!』
私の毎日がすごく賑やかになったのは、間違いなく碇という男が隣にいてくれるようになってからだった。
そうやってお嬢様と執事にしかない絆というものを少しずつ育んでいって。
それから3年が経った17歳、高校2年生の冬。
『理沙お嬢様、本当に佐野(さの)様でよろしいのですか…?』
いつも私の言うことには否定も文句も言わない執事が、その日はちがった。
真剣な顔つきで、内心の不安が伝わってきつつも意見を通してこようとする。
『私は…佐野様と結婚した先に、理沙お嬢様の心からの笑顔があるとは思えません…!!』
高校を卒業したら、大手化粧品会社・佐野グループである1人息子との結婚が決まっていた。
これはもう決まっていること。
決まったこと。