もっと求めて、欲しがって、お嬢様。




私はあなたにそんな顔をさせたかったわけじゃないのに……。



「私は執事学校でも失敗ばかりで、なんとか卒業できた身ですから…」



ポリポリとこめかみを掻きながら、碇は困ったように笑った。

どうして笑っているの。
悔しいんじゃないの、私は悔しいわ。



「早瀬さんのような執事だったら佐野様にも認めてもらえたのでしょうけれど…」


「比べてどうするの」


「…そうですね、すみません」



ちがう、比べたところで意味はないって言ってるの。

その“意味はない”だって、あなたが受け取ったものとは全然ちがうんだから。


碇は碇よ、あなたの代わりなんて誰だとしてもいない。


もしここに早瀬さんのようなSランク執事が現れたとしても、私は碇を選ぶ。



「理沙お嬢様、私は…あなたの言葉でしたらどんなことでも聞きます」



それ、嫌なの。

ズルいじゃない、そんなの。



「じゃあもし私があなたに、“私の執事を降りなさい”って言ったら……そうするの…?」


「……はい。」


「っ、」



なによそれ。

ぜんぜん格好良くなんかない。



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