このキョーダイ、じつはワケありでして。
この先何者にも頼れない恐怖はきっと、あなたからすれば自然災害よりもずっとずっと怖いものだったかもしれない。
19歳にして大きすぎる十字架を背負ったのは、兄ちゃんのほうだったというのに。
『神様がさ、とうとう俺にぶちギレたんだ。いい加減にしろって…バチが当たったんだよ。だから恨まれるなら兄ちゃんだ』
だれが、いたの。
いつも泣きわめく私を抱きしめてくれたけれど。
あなたを抱きしめてくれる存在は、いったいどこにいたの……?
「────…ん……、」
「あ、起きた。カレーできてるけど食べる?」
「…あれ……?寝て、た…?」
「そりゃもうぐっすりと」
部活も立てつづけにあったし、疲れてたのかも…。
あんなにも大事な話をしてる途中で眠り呆けてしまうなんて、なんとも私らしい。
お腹にはブランケットがかけられていて、これはむかし私が兄へとかけていたものだ。