このキョーダイ、じつはワケありでして。




さっきまで課題が広げられていたテーブルには、今度はデリバリーで届いた食べ物がズラリと並ぶ。



「思ったんですけど、なんていうか清潔感を通り越してかなりシンプルなインテリアなんですね」


「ああ、うち?」


「はい。あ、良い意味ですよ?なんだっけな、ミニマリズム?でしたっけ?」


「…まあね」


「でもこんなに広いんだから勿体ない気もするなあ」



もちろん私は兄の隣を陣取って、反対横には天瀬。

向かい側に咲良とそいつ。


兄と私を交互に見ては、ふうん?なんて顔をしてくる。



「…いまはもう俺と慶音のものしかないからね」


「え?もしかしてふたり暮らし…?ご両親は単身赴任とかですか?」


「おい」



流れが少し変わったところで、とっさに口を挟んだ天瀬。


私の事情を知らない先輩と、知っている天瀬。


ありがとう、大丈夫だよ天瀬。

私たち兄妹はこういう空気に誰よりも慣れてるから。



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