このキョーダイ、じつはワケありでして。
「そういう人様の事情、他人がズケズケ根掘り葉掘り聞くなよ。失礼だろ」
「…ああ、ごめん。そうだね、ごめんなさいお兄さん。それと慶音」
「べつに…大丈夫、ですけど」
めずらしく兄が何も言わなかったため、代わりに私が答えておいた。
ずどんっと空気が重くなったことで、だれにも手が付けられていないピザと巨峰が可哀想に見える。
「…ごめん四宮」
どうして天瀬が謝ってきたのか、違和感だけが残る。
咲良はもう空気を読みすぎて空気と化しちゃってるし、どーすればいいんだこの絶望的な息苦しさは。
「君たちはさ、慶音の友達なんだよね?」
すると柔らかく放った四宮 成海。
柔らかいなかにも感じる真剣さは、なにを目的としているんだろう。
「そ、そうです!もちろん友達です…!」
空気と化しちゃってたのに、大事なところはすぐ答えてくれるよね咲良って。
こういうところ、私と兄ちゃんが心を開けた理由のひとつだ。