このキョーダイ、じつはワケありでして。




「そういう人様の事情、他人がズケズケ根掘り葉掘り聞くなよ。失礼だろ」


「…ああ、ごめん。そうだね、ごめんなさいお兄さん。それと慶音」


「べつに…大丈夫、ですけど」



めずらしく兄が何も言わなかったため、代わりに私が答えておいた。

ずどんっと空気が重くなったことで、だれにも手が付けられていないピザと巨峰が可哀想に見える。



「…ごめん四宮」



どうして天瀬が謝ってきたのか、違和感だけが残る。

咲良はもう空気を読みすぎて空気と化しちゃってるし、どーすればいいんだこの絶望的な息苦しさは。



「君たちはさ、慶音の友達なんだよね?」



すると柔らかく放った四宮 成海。

柔らかいなかにも感じる真剣さは、なにを目的としているんだろう。



「そ、そうです!もちろん友達です…!」



空気と化しちゃってたのに、大事なところはすぐ答えてくれるよね咲良って。

こういうところ、私と兄ちゃんが心を開けた理由のひとつだ。



< 118 / 315 >

この作品をシェア

pagetop