このキョーダイ、じつはワケありでして。

「うわ、けっこう暗くなってる。家まで送ってくよ」



それからゆっくりしすぎてしまったみたいで、時刻はもう19時。

ショッピングモールから出ると、すこし大袈裟にも反応した先輩。


19時か……。
まだ帰るには早い。



「大丈夫です。ひとりで帰れます」


「だよね。そこで断るのが慶音だよね。じゃあ俺が送りたいだけって言ったら？」


「結構です」


「…………」



あとはここから1時間ほど、適当にひとりで時間をつぶすだけ。


咲良もいつも心配してくれるけど。

兄ちゃんと会う約束をしているだとか、寄っていくところがあるだとか言っては誤魔化して、駅で解散する最近だった。


嘘ついてごめん、咲良。



「ほんとに大丈夫？なんか心配なんだけど」


「大丈夫って言ってます。先輩は私の兄ちゃんじゃないんだから」


「そりゃそうだけど、おまえがお兄さんに言えないからせめてそばにいてやりたいんだよ」


「…私より強くなってから言ってください」


「はは、それは確かに。そうかも」