このキョーダイ、じつはワケありでして。
「…くそいたいよ」
「だろうね」
「死ぬかと思った…」
「だから助けに来たんでしょ」
この匂い、落ち着かないよ。
柔軟剤も勝手に変えやがって許せない。
「今日に限って最悪だよおまえ。…俺の飯は冷めたら不味くなるの知ってるだろ」
「……麻衣子さんは?」
「今日は来ない」
「え、なんで」
「おまえが部活ない日だから。テキトーに理由つけてまで来るなって言った」
ほんとだ、最悪だ。
どうしてこんなにタイミングが合わないの。
いつからこんな簡単なところですれ違うようになってたんだろう、私たちは。
「…冷めてもおいしーよ」
初めて作ってくれたダークマターだって、そこまで食べられないことはなかった。
焦げてるとか味がないなんて、兄ちゃんが私のために頑張って作ってくれた嬉しさで消え失せるものだ。