このキョーダイ、じつはワケありでして。




ふたりにとっても大事な日だと思うから、今日だけは。



『…やっぱりまだお腹痛い?』


『……だってみんな…、お母さんとお父さん、来るんだって』


『うん』


『…それ、見たくないもん』



親戚からも嫌われている俺たちは、本当にふたりだけ。

貯金と保険金狙いだった汚い大人なんかとは、こちら側から縁を切ってやった。



『ユリナちゃんのところもミクちゃんのところも……みんな来るって言ってた』


『…ねえ慶音。うるさい男とイケメンな男じゃだめ?』


『………テツ&にいちゃん?』


『テツandト○みたいに言うなって。なんでだろうだよほんと』



普段はしないアイロンまでかけたジャージと紅白帽。

複雑そうな顔で両方身につけた妹は、最終的に俺に抱っこをねだって完了だ。



『テツー、運動会がんばれメニュー用意して。主役起きた』


『はいよ!!おはよう慶音ちゃん!!』



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