このキョーダイ、じつはワケありでして。
『なんかあのクラスの土台、だいぶ危なくないか…?』
『おいおい大丈夫かよ…?』
けれど俺たちに向かってくる現実はいつだって優しくない。
とうとうクライマックス。
男女それぞれが作り上げる大きなタワー。
てっぺんに乗ろうとしている妹だけが真剣な顔だった。
『ありゃ崩れるな』
『ちょっと、縁起でもないこと言わないでよ』
不安になる声は俺の前後左右から聞こえてくる。
──────乗ったらダメだ、慶音。
俺の予想はわりと的を得ていることが多い。
慶音を引き留めるために親戚たちへ頭を下げたときもそうだった。
『ダメだ……乗るな、』
なぜ笑っているんだ。
どうしてそんな悪人のような顔で。
いざ作戦実行だ。ここで大舞台を見せてやろう───慶音と咲良ちゃん以外の全員、なんで敵になってんだよ。
『うそっ…!!』
『危ない…!!』
ぐらっと、慶音の足場は予想どおり傾いた。