このキョーダイ、じつはワケありでして。
「C組のお化け屋敷!まじクオリティやべえ!あとでもう1回いこーぜ!!」
「てか先輩のクラスの男女逆転カフェも行きたくね!?」
「あっ、たしかに!!先輩の女装とか爆笑だろ!!」
本当だったら、今日という日はこれまでにないほど朝から笑顔だった。
いつくる?どれくらいの時間にくる?
どのくらい居る?
そんなふうに兄に質問攻めをして、もちろん見せ場であるステージ発表は気合いを入れて。
────だが、今日の文化祭は人生のなかでも最悪な日になりそうだ。
「四宮…?はやくしないとリハーサル遅れるよ」
「…ごめん天瀬。本番には必ず間に合わせますって、先輩に伝えといてほしい」
「え、なんかあった?…まさか、またあいつ?」
「ちがうよ」と、すぐに頭を振る。
午後のステージ発表まで残り1時間を切り、10分後にはリハーサル開始。
そんな私は確実にリハーサルには間に合いそうにない。
「ちょっと…兄ちゃんから電話があって。急用かもしれなくて」
「…わかった。待ってるから俺」