このキョーダイ、じつはワケありでして。




もう、逃げないし隠れない。
背中に隠して守ってもらう妹も卒業だ。


麻衣子さんの目だって怖くない。

私には家族がこんなにも近くにいる。



「それは部活とかいろいろ忙しいからじゃない…?今日だってそれ、いじめだろうし……ね?」


「知ったふうなこと言うなよ。あんたが余計なことばっか言ったから慶音はチビなりにも背伸びするしかなかったんだろって言ってんの」


「よ、余計なことって…!私はただ成海くんが可哀想だと思ったからっ」


「可哀想?言っておくけど、そのやり方の先に幸せなんか誰だとしても無いから。少なくともあんたなんかより本当の家族してんだよ、こっちは」



麻衣子さんの息を飲んだような、息詰まる顔を見た。



「今まで作り上げてきた俺たちのすべてをこんなブスに壊されるなんて、たまったもんじゃないんだよ」



心のきれいさは見た目に反映する。


どんなにルックスが整っていようが、心が汚いと醸し出るものは絶対ある。

たとえ地味な顔立ちをしていたとしても、心がきれいなら魅力的に映る。


いつも兄は私にそう言ってくれていた。



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