このキョーダイ、じつはワケありでして。
「ぼう、りょくよ…っ!!警察っ、はやく警察を呼んで…!!」
過去にも私から手を出したことがあった。
夜の公園。
柄の悪い男たちに絡まれたとき。
でも奴らは自分たちが悪いことをしていると自覚があったから、兄にボコボコにされたあとも何もしてこなかった。
今回は……ちょっとヤバいかもしれない。
「訴えてやる…!未成年だろうが立派な暴行罪になるでしょッ!!」
「ならないよ。その場合は俺たちが証人になる」
そこで空気と化していた1号、緒方 志摩がさっそく動く。
「あんたがずっと罵倒して言葉の暴力をしつづけてたところ、俺たちは見てたから。…真幌も見てたでしょ」
「…ああ。話の流れ的に今だけじゃないだろーし、四宮が喰らってきたのって」
「っ、手を出したほうが負けじゃない…!!」
「どちらにせよ四宮が出なかったら俺が出てるとこだった。俺の場合は罪に問われたかもだけど、残念だねおばさん」
2号はそう言って麻衣子さんを煽った。
悔しさを全面的に出した彼女は奇声を上げながら逃げるように保健室を出ていく。