このキョーダイ、じつはワケありでして。




「あ、あり……」


「ありがとう」



私に被せるように言った兄。

なんやかんや私は、先輩と天瀬にいつも助けられている。



「いいんです。俺がぜんぶ…悪いので」


「そうですよ。むしろ成海さんにはこいつが土下座しろって話なので」


「…ふっ、もう君らも仲直りしたら?」



いや、兄ちゃん。

もうしてるよ。
このふたり、とっくに。


もしかすると私たちが“きっかけ”になれたのかもしれない。



「慶ちゃん。おまえは俺にあんな女との結婚を強いたげてたんだよ。反省した?」


「した、する、しまくる。ごめん、兄ちゃんごめん、ほんとごめん。兄ちゃんはずっと独身でもいいよ。私がいい大学出て、最終的には兄ちゃん孝行として養ってあげる」


「…ルルタウンの近くにクリーニング屋あるじゃん」


「うん、ある」



なに急に。

話の腰を折ってくる唐突なところ、私とそっくりじゃないか。



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