このキョーダイ、じつはワケありでして。




「………は……?」


「ご主人様を忠実に守ってくれる犬とのスキンシップ?…ああちがう、ご褒美かな」



きっと毎日のようにこんなふざけたスキンシップをいろんな女としているから、とっくに感覚が麻痺してるんだ。


こいつにとっては当たり前で、軽いもので、ただの挨拶。


そんなの知らない。
私はちがう、一緒にするな。

まさかこんな形でファースキスというものを経験するなんて思ってもいなかった。



「あれ?慶音~?慶ちゃーん?」


「………で、」


「え?」



大好きな兄ちゃんと同じ呼び方、しないで。



「う”……ッッ!!!」



たぶん、いや確実に、さっきのサトシに喰らわせたものよりも力をこめた。


かたくかたく握りしめた右手。

容赦なんか知らないまま、本気で、それはもう全身のちからを振り絞った1発をモテ男の顔面にめり込ませる。



「……いっった……、あのさ、俺がルックス命って知ってんの」


「はあ…っ、はっ!」



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